『旅』と『仕事』vol. 2

2つ目の理由。

店頭での接客では、お互いのプライベートに関わることをお話しすることはほとんどありませんが、店舗やオフィスなどは打合せする機会も複数回になります。

打ち合わせをしていく中で、雑談の1つとしてお互いのプライベート話になることが多々あります。
この雑談って、とても意味があると感じています。
例えば、アンティークな家具が好きな方だったら、「バリで観たアンティークショップの裏にある工房がこんな風に作っていて、古めかしい細工の仕方を見せてくれて、、、ね、ビックリでしょ、、、」とか、
アートを探している話から「パリの蚤の市のクリニャンクールって、1日じゃ回りきれないほどのお店があって、蚤の市という名前の巨大モールでそこで見つけたアートが、、、、」など、色んなことがススッと言葉として出ちゃいます。

そして、そこからお互いのコミュニケーションが増して、全く別の案件のお話しに発展したりします。

私の場合、それがたまたま『旅』の話だっただけで、それが、本や映画、洋服、料理、器など、そこは人によるのだと思います。
話題には事欠かないほど、失敗や恐怖体験もたくさんあったけど、もうこの歳になったら、笑い話です。
もちろん、それを上回る、素晴らしい経験と記憶の方が何百倍もあるのですが。 もちろん、話が盛り上がるということだけではなく、相手のことを知るきっかけになることがとても多いのです。

私も知らなかったことをたくさん教えてもらったりもします。その人にとても興味がわきます。そうなると、たわいもない会話こそが実は、空間作りのヒントになっていたり、方向性が見えてきたりします。

そういう意味で、私にとっては『旅』の経験が、程よい雑談になっているということです。

だから『旅』と『仕事』は、繋がっています。

学生時代には「旅行研究会」というサークルに属していました。
当時は、とにかくバイトをして貯めたお金で旅する(遊ぶ)という、なんとも遊んでばかりのサークルではありましたが、実はそれこそが今とても生かされています。

人生、無駄なことは全くない。
また時間を見つけて、旅しよう。

ダラダラと長い文面になってしまいました。
もし、誰か読んでくださいましたら、どうもありがとうございました。

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クラフトジャーナル代表
CHIE ENOKI
時代の古い新しいにこだわらず、旅先で出会った空気感や、ひとのモノづくりが見えるストーリーのあるプロダクトやグリーン植物、アート作品などをセレクトした空間演出とインテリアコーディネートを多方面で企画。