トルコ旅手帖 vol. 4
一枚との出会い
「キリムは、『これ好き!』って思える出会いがあるかどうかだよ。」と、キリム商のおじさんの言葉に納得。
キリムは主に生産地と年代で区別されます。
生産地ごとに織られるデザインに特徴があるため、古いものでもデザインやモチーフを見れば判別が出来ます。年代については、一般的に■100年以上前をアンティークキリム■40~100年前をオールドキリム■20~40年前をセミオールドキリム■現代~15年前をニューキリムと分けられます。しかしながら、年代については、私達日本人が見ても、良く判りません。
トルコでお土産的にキリムを扱っているトルコ人でさえ、判らない人が多いというのが現実のようです。今回、キリムをピックアップさせてもらったキリム商人たちは、長年、親の代からキリムを扱っている人たち。遊牧民のいる場所へ出向き、現地と密な関係性があってこそ、信憑性があり、信用出来る。キリムの事を知るためには、まず信頼出来るキリム商人に出会えるかどうか、その一点に尽きます。
実際に暮らしの道具として使われていたキリムは、古いものになればなるほど、擦り切れたり、フリンジ(経糸)の部分が切れたりしています。それも味わい深いものではありますが、必要に応じて、職人が一点ごとに補修を施します。
トルコでは、そうのような技術を習得するための専門学校もあり、出来るだけ現代人の要望に合わせつつ、キリム本来の風合いを損なわない程度の直しを行っているそうです。
個人的には、出来るだけそのままの状態で良いのではと思いますが、織りがほどけていくような事がないよう、職人の目を通して、最低限の品質を保つことが、キリムという織りの文化を継続させるためには必要なのかもしれません。
「チャイ、飲みませんか?」
キリム屋さん巡りで、チャイはかかせない。必ずと言っていいほど、早いタイミングで「チャイ、飲みませんか?」と聞かれる。
行く先々で、必ずチャイのおもてなしがあります。1日のうち、かなりのお茶時間を持つ文化のようで、1日に8杯程度は飲むとか・・・。チャイ時間は、トルコ人の井戸端時間でもあり、接待時間でもあるようです。
日本の「まあ、お茶でもどうぞ」と同じですね。
ビル1階の奥スペースには、チャイを煎れるための専用スペースがあり、ビルの入居の方々(お店や会社)からオーダーが入ると大きな丸いトレーに乗せて運んで来てくれます。
ちゃんと、煎れるためのチャイマシーンがあるんですよ。
チャイ専任のおじちゃんが、「淹れたてで、美味しいよ!」と誇らしげに運んでくる光景があちこちで見られました。私が想像してたチャイは、インドのミルクティーだけど、トルコのチャイは、普通のストレートの紅茶。
だけど、トルコの異国情緒なのか、その紅茶が、とても美味しく感じたのはなぜだろうか。
ー後記ー
私が初めて、トルコのキリムを見たのは、20代前半の頃でした。
ユニークで自由なデザイン、そして独特な配色。
その織物を見たときの感動は今でも鮮明に覚えています。
その頃、キリムはインテリア雑誌で特集が組まれるほど、注目を浴びていた時期でした。
キリムが日本で紹介されるようになって30年ほどが経ちますが、やはり好きだという思いは変わりません。もっと気軽に手に取っていただけないかと思い、この度、弊店でキリムの常設展示を行うことになりました。
カフェやアパレルショップ、或いは旅館や古民家などの空間にセンス良く敷かれているキリムをご覧になられた方も多いと思います。
キリムは和洋問わず、また個人宅、店舗問わず、独特で個性的な空間にお勧めのアイテムです。もし、「これ好き!」というキリムに出会ったら、ぜひ暮らしの中に取り入れてみてください。
今までの暮らしが、より愉しくなる、、、、そんな出会いがありますように。
クラフトジャーナル代表CHIE ENOKI時代の古い新しいにこだわらず、旅先で出会った空気感や、ひとのモノづくりが見えるストーリーのあるプロダクトやグリーン植物、アート作品などをセレクトした空間演出とインテリアコーディネートを多方面で企画。 |